モモの読書感想文007～『コンビニ人間』村田沙耶香

こんばんは。モモです。

ものすごく久しぶりの感想文になってしまいました…。

今回の読書感想文は・・・

芥川賞受賞！『コンビニ人間』　著：村田沙耶香

昨年、芥川賞を受賞した作品ですね。

ずっと気になっていたけれど著者の作品を読んだことがなかったのでなかなか手を出せずにいたのですが

（だって買った本がつまらなかったときのストレスを考えるだけでストレスなので冒険できないのです）、

アメトーーク！の読書芸人で絶賛されていて思わずKindleからぽちっと購入しました。視聴者の鑑。

とてもおもしろくて読み始めたら止まらず、一気読みしてしまいましたよ。

ページ数も多くないし、読みやすい文章とテーマなので普段あまり本を読まない方にもおすすめです。

前回の感想文もぜひ。

yukimomo

 

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モモの読書感想文006～『恋文の技術』森見登美彦さん

http://blog.yukimomo.net/bookreport_006/

こんばんは。モモです。 毎年思いますが、夏って短いですね。どんどん陽が短くなってきました。 さて、今回の読書感想文はこちら。  『恋文の技術』　著：森見登美彦 森見登美彦さんの文章って、不思議なリズム感があって癖になります。ものすごく滑舌の良い人に朗読してほしい文章。たとえば小林賢太郎さんとか。初めて森見さんの本を読んだのは、高校生のときでした。授業中にこっそり『四畳半神話大系』を読み、大学にはこんな人たちが生息しているのか…と思ったものですが、実際に進学してみたらそんな人...

「普通」でないことは「奇妙」であること？

36歳独身の主人公・恵子はコンビニのオープニングスタッフとして働き始めて18年目。

「普通」を押し付けてくる周囲とうまく折り合いをつけられない日々。

完璧なマニュアルが存在するコンビニだけが、私を世界の「部品」にしてくれる…

あるとき新入りの男性・白羽にその生き方を「恥ずかしくないのか」と問われるが、彼もまた似たような葛藤を抱えていて―――

主人公は幼いころから「普通」ではない言動を繰り返し、親は「いつになったら治るの」と頭を悩ませます。

死んだ小鳥を見て、「お父さんが焼き鳥が好きだから食べよう」と言ったり、

男の子たちのけんかを「止める」ためにスコップで頭を思い切り殴ったり。

本人の中ではあくまでも合理的で「普通」のことなのだけれど、彼女の家族は彼女を理解できずに否定し続けます。

自分の「普通」を、当然のように他人に押し付ける人たち。

彼女は彼らに受け入れられようと、「普通であること」に固執するようになるけれど、

その努力の方向性が、やっぱり「普通」じゃない。

読み始めてから読み終わるまでずっと、じわじわと違和感やゆがみを感じさせてくる作品でした。

でも彼女のその奇妙さが、ちょっと笑えるんです。絶妙に、変。

白羽（どうしようもないクズ）とのやりとりもテンポが良いコントみたい。

社会の歯車になれる場所

そんな彼女が唯一「普通」扱いしてもらえる場所が、コンビニでした。

店の周辺調査をして情報収集したり、気温の変化で発注を変えたり、

長く働くために健康を維持するように努めたりといった熱心な仕事ぶりは高く評価されました。

制服を着てカウンターの内側にいれば、自動的に「店員」になれるから。

そこで何をすればよいかは、すべてマニュアルに書いてあるから。

そう、彼女に必要なのは、人生を生き抜くためのマニュアルなのだと私は思いました。

やるべきこととその道のりが明示されていれば、困らないわけです。

けれど、彼女は途中で気がつきます。

そうか、もうとっくにマニュアルはあったんだ。皆の頭の中にこびりついているから、わざわざ書面化する必要がないと思われているだけで、「普通の人間」というものの定型は、縄文時代から変わらずあったのだと、今更私は思った。

遥か昔から人々の頭の中で受け継がれてきたマニュアルは、今は「普通」という言葉になって彼女を振り回しているのでした。

コンビニのマニュアルは完璧でも、社会のマニュアルからは外れてしまっている自分に気がついた決定的なシーンだと思います。

このシーン以降、主人公の穏やかなコンビニ店員生活が徐々に崩れ出します。

ぞっとするのに、なんだか可笑しい

ラスト10ページ、主人公の異常さが全開。

ぞわわと鳥肌が立ちます。

「忘我の境地」という言葉があるけれど、何かに一生懸命になることは時に自分を犠牲にするのですね。

いくらでも代わりがいるコンビニ店員というポジションに、我を忘れるほど自分をささげる主人公。

変すぎてちょっと愛しいくらい。

『コンビニ人間』を読み終えた後、こんなものも見つけました。

無料なので、こちらも是非。これがフィクションでなくエッセイだということに、ただただ恐怖を感じます。

『コンビニエンスストア様』　著：村田沙耶香

偏執的なまでのコンビニ愛がクローズアップされた村田沙耶香さんのエッセイを、『コンビニ人間』発売に合わせて緊急無料配信！

↓このエッセイが収録されている単行本はこちら。（アンソロジーです）

村田沙耶香さん、初めて読んだけれどとってもおもしろかったなぁ。

淡々とした語り口も気持ちいいし、他の作品も読んでみたくなりました。

それでは、また次回もお楽しみに♡

Next bookreport is…

yukimomo

 

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モモの読書感想文008～『ちょっと食べられちゃったパイ君』アレックス・ウィリアムズ

http://blog.yukimomo.net/bookreport_008/

こんにちは。モモです。 今回の感想文は、絵本です。 タイトルにがっちり心をつかまれました。 『ちょっと食べられちゃったパイ君』　著：アレックス・ウィリアムズ 前回の感想文はこちら。芥川賞受賞の話題作。 あらすじ ある朝早く、パイ君は目を覚ましました。とっても変な感じがしたので、絶対何かおかしいと思いました。 頭の中が寒い気がして手を伸ばしてみると、自分はもう、まん丸ではありませんでした。パイが一切れなくなっていました。 いきなり自分の一部を失ったパイ君。 カップケーキちゃんに「きもちわるい！」と言われ...