モモの読書感想文045~『BUTTER』柚木麻子

 

こんばんは、モモです。

 

お久しぶりの読書感想文。前回の投稿から実に半年以上経っております…

2020年もマイペースにやっていきますね。よろしくお願いします。

 

さてさて、今回の課題図書はこちらです。

 

今回の読書感想文は・・・

『BUTTER』 著:柚木 麻子

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)

若くも美しくもない彼女がなぜ―――。

週刊誌記者の町田里佳は親友の怜子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。

フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。

その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、怜子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。

 

最近文庫になったみたいで、本屋さんで平積みされていました。

これから読む人も多いと思うので、ネタバレしないように書いていきますね。

 

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前回の感想文はこちら。

 

 

あの事件、覚えていますか?

2007年から2009年にかけて発生した首都圏の連続不審死事件。

いわゆる結婚詐欺の末の連続殺人だったわけですが、複数人の男に大金を貢がせていた容疑者が美しくも若くもない、しかも太っている女性だったこともあって大きく騒がれましたよね。私もよく覚えています。

『BUTTER』は実際にあったこの事件をベースに書かれたもの。

 

容疑者の梶井(カジマナ)もまた、容姿は人並み以下でしかも太っている。

けれども、実際に面会した週刊誌記者の里佳は彼女の内面からにじみ出る魅力にすっかり骨抜きにされてしまいます。

カジマナとの数回のガラス越しの対面だけで、みるみる見た目も内面も変えられてしまう里佳

まるで自分が自分でなくなるような体験ののち、里佳は自分なりの事件の真相を見出していくわけです。

 

里佳カジマナと同じ女でありながらも、被害者の男たちのほうにより強く感情移入していくのが面白いところ。

そこに親友の怜子(この人も相当な変わり者)も加わって、物語はどんどん怪しい方へ転がっていきます。

 

 

珠玉のタイトル『BUTTER』

 

淡い黄色の表紙をめくると、目に入る書き出しの一文はこうだ。

 

生成り色の細長い建売住宅が、なだらかな丘に沿う形でどこまでも連なっている。

 

新開発された土地の真新しい住宅が、まるでバターのように成形されている様子が目に浮かぶ。

怜子が夫と二人で住んでいる新興住宅地に初めて訪れるシーンです。

 

よく整備された町並みからはどこに居ても均一な印象しか受けとることができず、里佳はさっきから同じ場所をずっとぐるぐる回っているような気がする。冷え切った右手の指先のささくれが、おおきくめくれた。

 

バターが溶けるためにはが要る。

このときの里佳はまだ冷え切っていて、バターを溶かすことができない。

こうして2度目に読んでみると、里佳の熱はこの後出会うカジマナによって与えられたものだということがわかります。

 

 

 

調味料であり、食用油でもあり、かつ嗜好品でもある稀有な存在。

 

私もバターをそのまま食べるの大好きです。よく冷えたレーズンバターは悪魔的に美味しい。

濃厚なつめたいバターが口の中でじんわり溶けて、輪郭を失っていくあの感じ。

脳まで登って覆いつくされるような、あの湧き立つ香り。

いけないことしてる気分になるでしょ。そして実際、からだには良くないでしょ。

 

バターには、常にそういう罪悪感みたいなものが寄り添っているように思うんです。

だから、それをただ純粋に「いいもの」「美しいもの」と認識して陶酔しているカジマナを、ちょっと恐ろしく感じてしまうな。

 

冒頭、怜子が住む新興住宅地をぐるぐる回っていた里佳

後に出会うカジマナの周りをぐるぐる回って、バターになってしまわないといいけどね。

 

 

バターが溶けるくらい暖かくなる前に、ぜひ読んでみてくださいね。

 

それではまた!

 

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