モモの読書感想文041~『ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集』村上春樹
モモです。
もうすぐ7月。夏休みに海外旅行を予定している方も多いのでは!?
楽しみがあると梅雨でじめじめした毎日でもお仕事頑張れますね。
ということで、読むとすぐにキャリーをひいて旅に出たくなる紀行文集をご紹介。
今回の読書感想文は・・・
『ラオスにいったい何があるというんですか?』著:村上春樹
旅をしている人にだけ見えてくる風景がある。
そこには特別な光があり、特別な風が吹いている――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの自然、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島、フィンランドの不思議なバー、ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、そして熊本の町と人びと――旅の魅力を描き尽くす、村上春樹、待望の紀行文集。
前回の感想文はこちら。
旅と暮らし
店から五分くらいの距離に、僕が住んでいた家があるはずなんだけど、それがどれだけ歩き回っても見つからない。一ヶ月も暮らしていたんだからすぐに見つかるだろうと多寡をくくっていたのだが、人間の記憶というのはあてにならないものだ。
一言に「旅行」と言っても、2~3泊までのものと4泊以上のものとではだいぶ趣が違うんじゃないかという気がする。
3,4日もいれば土地勘が出てきて、土地勘ができるといきなりその場所に ”属している” 感覚ができる。
そうなるともうそれは、旅というよりも「暮らし」に近いんじゃないかと思う。
村上春樹さんの紀文集はいくつかでているんだけど、読んでいるといつも、どこか遠いところに暮らしてみたいという気になる。
旅ではなくて暮らすことでしか見られない、感じられないものっていうのは絶対にあるよなぁ。
記憶を起こすための装置として
当時の僕は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という小説を書き上げ、次の作品『ノルウェイの森』の執筆に取りかかることを考えている三十代半ばの作家だった。「若手作家」という部類にいちおう属していた。実を言えば、自分では今もまだ「若手作家」みたいな気がしているんだけど、もちろんそんなことはない。時間は経過し、当然のことながら僕はそのぶん年齢を重ねた。なんといっても避けがたい経過だ。でも灯台の草の上に座って、まわりの世界の音に耳を澄ませていると、あの当時から僕自身の気持ちはそれほど変化していないみたいにも感じられる。
場所にしか紐づかない記憶というものがきっとあって、それはその場所に行かないと思い出せない。でも長く居すぎるとどんどん記憶は上書きされてしまう。
いろんな国のいろんな街に少しずつ暮らして、数十年後にもう一度そこをめぐってみたら、きっと記憶は新鮮なままそれぞれの土地に残っているんだろうと思う。
う~ん、移住したい。
最後に
Amazonのレビューを見たら、実際にラオスに行ってみたというレビューが結構あって驚きました。
本作で取り上げられた国のなかだったら、私はふたつのポートランドに行ってみたいです。
それでは、また。
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