モモの読書感想文015~『みみずくは黄昏に飛びたつ』村上春樹・川上未映子
こんばんは。モモです。
読書は趣味というよりかは私の生活の一部という感じなのですが
それでもいちおう波みたいなものはあって、今はその波がかなり高い状態です。大時化です。
こうなるのはやっぱり素敵な本にめぐりあえたとき。
その素敵な本がこちら。
『みみずくは黄昏に飛びたつ』 著:川上未映子、村上春樹
- 単行本(ソフトカバー): 345ページ
- 出版社: 新潮社 (2017/4/27)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4103534346
- ISBN-13: 978-4103534341
- 発売日: 2017/4/27
- Kindle:¥1,500 / 単行本:¥1,620
川上未映子さんが訊き手となって、村上春樹さんへロングインタビューしています。
小説家であるお二人のやりとりが全4回にわたって掲載されています。
お二人のやりとりは、金言の宝庫です。
Kindleのハイライトが60箇所を超えていました…
何度も何度もおおお、と感嘆したし
きゃあああと興奮したし、
うふふ、と声に出して笑ったこともありました。
普段本を読んでいるときは、だいたい紙面に(Kindleの場合もあるけれど、ともかく)
顔を半分突っ込んでいるような心持ちでどっぷり中の世界に浸かっているので、
現実世界の私が笑ったり声を出したりすることってあまりないんですが
きっとこの本が物語ではないからですね。
前回の感想文はこちら。
「地下2階」の話
村上春樹さんの作品を初めて読んだのは15歳、高校1年生のときでした。
私の地元は田舎で、家からあるいていけるところに本屋さんがなかったので
電車で高校に通うようになり、放課後に図書室にこもったり、本屋さんへ行ったりするのが本当に楽しかった。
手に取った作品は『ねじまき鳥クロニクル』。
こんなにも個人的な、プライベートな文章を読んだのは初めてだと感じました。
自分だけの、誰も知らないはずの心の深いところの機微が文章として、
しかもベストセラー作品として目の前にある驚き。
立ち読みしながら、こりゃあ人前ではとても読めない! となぜだかすごく恥ずかしくなりすぐにレジに向かったことを覚えています。
トイレでこっそり読みたいような気分になったことを。笑
人の心の奥底にある、輪郭のないものが淡々と言語化されていること、
それが目の前にありありと浮かんでくるようなディテールを持っていること。
なのにそれが、ぜんぜん特別じゃない平易なことばで書かれている。
かなり衝撃を受けましたし、自分の本の読み方がだいぶ変わったきっかけでもあります。
この、「すごく個人的なことが書かれちゃってる!なんか恥ずかしい!」という感覚の意味が、
このインタビューを読んで腑に落ちました。
私たち作家は、物語を読んだり書いたりすることで、それぞれが抱えている地下1階の部屋を人に見せ、読ませています。
これは川上未映子さんの言葉。
そして村上春樹さんはさらにその下の部屋、「地下2階」を目指して文章を紡いでいると言います。
この「地下2階」という概念、これがあの”恥ずかしい!”の理由だったのだなと。
自分でも意識していないような最下層の心理をいきなり文章として見せられたら、そりゃ恥ずかしいよね。丸裸にされているようなものだもの。
この「地下2階」が何度もお二人の話題に上るのですが、聴けば聴くほど(読むほど?)、小説家って危険な職業だと思いました。
自分の心の地下2階までもぐることって、そしてそれを文章におこして、形として残すことって、なんて危ういことだろう…
作家と作品は、やっぱり切り離せない
私はこれまで、こうした”作家自身が自分の作品について語る”ものを読むことを避けてきました。
自分の中の作品像や世界観を壊されたくなかったし、自分の解釈を左右されたくなかったから。
だって、作家が「これはこういう意味です」って言ってしまったらそれが答えになってしまうなぁって。
だから著者がすでに亡くなっているというのはこうした意味においては安心なことだったりする・・・笑
それを意識しだしたのは大学生の時で、ゼミの教授が「作家と作品は切り離して考える」スタンスの方だったのでその影響をとても強く受けた、というかまぁただの受け売りなんですけど…
でも今回こうして読んでみたら、理屈抜きに面白かった。ものすごく。
村上春樹さんがどのようにして作品を書いているかはもちろん、政治的な物事に対するスタンスとか、死後の世界に対する考え方、人生観みたいなもの、そして何よりお人柄が垣間見えるところなんかもうすごく面白い。これから家にある全作品を読み直してしまうなぁ。笑
なんだか今までとっても損していた気分。考え方が潔癖すぎたなぁと思います。
これはこういう意味があると思う、って作者がいちいちパッケージをほどいていたら、そんなの面白くもなんともない。読者はガッカリしちゃいます。
さすがわかってらっしゃる、ありがとうハルキムラカミ……涙
人間が言葉を話しているのか、言葉が人間を使って話しているのか
ストーリーみたいなものは、(中略)結局向こうからやって来るものであって、僕はそれをただレシーブしているだけです。
なんだか村上さんって……いっそ物語が通過して出ていくための器官みたいな感じがしますよね(笑)
小学校だったか中学校だったか、国語だったか道徳だったか忘れてしまいましたが
教科書に”人間は言葉の乗り物”みたいなことが書いてあったんです。
人間は言葉を使って話していると思って疑わないけれど、本当は言葉が人間を使って話している、みたいな内容の…
村上さんって、一切プロットとか考えずに書いているそうで、降りてきたものをひたすら書いているといつのまにか辻褄が合って作品が出来上がるらしい。
そんなのとても本当のこととは思えないのですが、もし本当なら、イタコみたいに言葉に自分を乗っ取らせられる才能があるんじゃないだろうか?
あるいは、村上さんの心の地下2階にその物語が置いてあって、そこへ降りて行って書いているみたいな感じなのかな。
それにしてもあの教材、もう一度読みたいなぁ。でもタイトルも著者も覚えていない…どなたかご存じないでしょうか。
川上未映子さんてめっちゃ美人だね
なんだか長くなってしまったので今回はこのへんで。
最後に言いたいのはそう、川上未映子さんって調べてみたらすごくお綺麗な方だったということ…
雰囲気がある美人というか…これで小説も書けるなんて素敵だなぁ…
『乳と卵』『シャンデリア』くらいしか読んだことがないけど、お顔を見たら俄然、ほかの作品も読んでみたくなった。笑
それでは、また。
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