モモの読書感想文010~『六条御息所 源氏がたり』林真理子

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こんばんは。モモです。

 

久しぶりの読書感想文です~!

今回の課題図書は、こちら。

 

『六条御息所 源氏がたり』 著:林真理子

 

日本人なら誰でも知っているあの名作古典物語『源氏物語』をモチーフに書かれた恋愛小説。

六条御息所という登場人物の女性の視点から描かれた、まったく新しい源氏物語です。

六条御息所と言えば、大変高貴な家の貴婦人で主人公・光源氏の初期の恋人の一人でしたが

源氏の心が離れてしまった後も彼を想い続け、生霊やら死霊やらになってつきまとうというなかなかヘビーなお方。

 

この六条御息所と、ゆがんだ女心を書かせたら右に出るものはいない(と個人的に思っている)林真理子の組み合わせ…興奮します!絶対おもしろいですよね!

 

初めて読んだのはたしか大学2年生のときでした。

「光の章」、「華の章」、「空の章」の全3巻から成りますが、当時まだ2巻と3巻が刊行されていなくて…

今か今かと待ちわびていたのを思い出します。お金がなかったので大学の図書館頼みで。笑

 

 

前回の感想文はこちらですよ~

 

愛情から憎しみへ

高貴で知的で美しい六条御息所に、源氏はしつこくアプローチしました。

けれどもほかにもたくさんの女と関係を持っていた源氏でしたので、いつのまにやら関係は逆転していきました。

すっかり足が遠のいてしまった源氏への気持ちを抑えきれない六条御息所は、生霊となって体を抜け出し、

源氏の一挙手一投足を見つめ続けることになります。

その目はほかの女との閨の中にまでおよび、嫉妬心を抑えきれなくなった彼女はついに、

ある女を怨念で呪い殺してしまいます。

 

その女というのは有名な「夕顔の君」ですね。

個人的にこのくだりが物語全体の中で一番面白かった部分です。

なぜなら、林真理子版の源氏物語と原作とでは、「夕顔の君」の描かれ方が全く異なっていたから。

 

夕顔の君といえば

夕顔の君といえば…

儚げで、優しくて、従順で…というイメージですよね?

というか原作ではそのように描かれています。

でも林真理子版の六条御息所に言わせると、「強欲でしたたかな女」になる。笑

このゆがんだ視点を描き出してしまうところがさすが林真理子! という感じなのですが

よく考えてみるとこの見方、あながち間違っていないかも…?

 

この作品がくれた新たな視点

源氏は、原作の中で自身の理想の女性像をこう語っています。

女は、ただやはらかに、とりはづして人に欺かれぬべきがさすがにものづつみし、見ん人の心には従はんなむあはれにて、わが心のままにとり直して見んに、なつかしくおぼゆべき

 

頼りなく、優しく、だまされやすく、従順であること。

そしてまさに夕顔はこの条件をすべて満たした女であると。

 

原作の『雨夜の品定め』の段のなかで、源氏の親友である頭中将がかつて長く付き合い子までなしたという「常夏の女」の話をするのですが

後々、その常夏の女は夕顔であったことがわかるのです。

 

夕顔には父親も男兄弟もいませんでしたから、恋人からの経済的援助が必要だったはずです。

頭中将と別れてほとほと困っていたところに現れた源氏を、絶対に手に入れなくてはならなかったはず。

源氏は夕顔との関係が周囲に知られるのを警戒して、お供の者も最小限におさえ、普段着るような豪華な直衣ではなく質素な狩衣をまとい、常に袖で顔を隠していました。

どう見ても異様で怪しいですよね…

それなのにそんな男をあっさりと迎え入れたのは、それが今をときめく光源氏だとわかっていたからこそでしょう。

源氏の押しの強さに負けたふりをして…。

 

また、源氏との度重なる逢瀬の記述に、子どもの様子がまったく描かれないところもおかしい。

子どもはまだ幼いはずだし、広い屋敷でもないはずなのでその存在に源氏が気づかないというのは…

夕顔が事前に子どもをよそに移していたのかも?

 

源氏にとって夕顔は、儚げで従順であどけない、かわいらしい女性でした。

私もずっとそういうイメージしかありませんでした。

けれど、夕顔を取り巻く環境や行動を見ると、必ずしもそうであるとは言い難いですね…

 

林真理子、すごい。

作品の面白さもさることながら、まさか原作の解釈まで変えさせられるとは思いませんでした。

原作の源氏物語を知らなくても一つの物語として楽しめるし、原作を読み込んでいる人にも新たな解釈を発見させてくれる。

とっても奥行きのある作品です。

 

林真理子さんはほかにもいくつか歴史小説を出版されていて、いくつか読みましたが

特に面白かったのがこちら。

『正妻』 著:林真理子

 

江戸時代、最後の将軍となった徳川慶喜に嫁いだ公家の姫、美賀のお話。

大奥モノが好きなので徳川幕府の時代の話はたまらないです。

 

 

なんだか長くなってしまいました…

また面白い本を読んだら書きますね。

 

それでは、また。

 

Next bookreport is…

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