モモの読書感想文003前編~『棒』安部公房

こんばんは。モモです。

今回の読書感想文は・・・

『棒』 著:安部公房

高校現代文の教科書にも採用されていますね。

私も高校で習いました。

どんな授業だったかよく憶えていないのですが、授業が終わった後に先生にある質問をしたら先生があからさまに困った顔をしていた、という記憶があります。(詳しくは後編でお話しする予定です)

確かに、もし授業を「やる側」になったらかなり困りそう。

私は中学・高校の国語科教員免許を持っているのですが、こんな教訓が迷子になってるイミワカラナイ作品、「指導案どうすりゃいいの?」って涙目になっちゃうなぁ。

でも今はただのOLなので(●^o^●)

純粋に読み物として楽しみたいと思います。

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あらすじ

ある六月の日曜日に二人の子供を連れて駅前のデパートに来た男は、屋上から街を見下ろしていた。子供の声から逃れるように身を乗り出した彼は、そこから墜落し、気がつくと一本の棒になっていた。

くぼみにつきささっている彼を、二人の双子のようにそっくりな学生と彼らの先生らしき人物が見つけ、引き抜いた。彼らは、人間を裁くことによって存在する者たちだ。棒になった男は、彼らによって観察・分析・判断され、その結果、適当な処罰としてそこに置きざりにされた。

「男」は、平凡な人間でした。

六月の日曜日に、人ごみに埋まった駅前のデパートの屋上で、子供の守をしている退屈な大人たち。

彼もその例にもれず、ただぼんやりと街を見下ろしています。

「男」はなぜ屋上から落ちた?

実際、手すりにへばりついているのは、子供より大人が多い。子供たちはたいていすぐ飽きてしまって、帰ろうとせがみ出すのに、仕事を邪魔されでもしたように叱りつけて、うっとりとまた手すりの腕に顎をのっけるのは大人たちなのである。
むろん、少々、後ろめたい楽しみかもしれない。だからといって、ことさら、問題にするほどのことだろうか。

この、「後ろめたい楽しみ」って、なんでしょうか。

デパートの屋上で、「うっとりと」手すりに顎を乗せる大人たち。

その日は雨上がりで天気の悪い日ですから、景色に見とれているわけではないでしょう。第一それじゃ「後ろめた」くない。

私にも経験のあることですが、高いところに登った時に、ふと「ここから飛び降りたら…」と想像する事ってありませんか? え?ない?

もちろん死にたいと思っているわけでもないし自殺願望があるわけでもないですが、なんとなく。ほんとうに、なんとなく。ありませんか? ないかなぁ。わたしだけかなぁ。

男には、少なくとも2人以上の子どもがいます。

デパートの中では、夫に子守を任せた妻が買い物をしていることでしょう。

養うべき家族がいながら、デパートの屋上から飛び降りる妄想をする。

平凡でつまらない毎日を送っている男の、ちょっとした非日常感。

これはなかなか「後ろめたい楽しみ」と言えます。

そして、実際に落ちてしまった。

村上春樹的な解釈をすると「無意識の自分の台頭」かな。

平凡な「棒」になった

そんな「男」はデパートの屋上から墜落して「棒」になってしまうわけですが…

一言に「棒」と言ってもいろいろありますよね。

曲がっているもの、節があるもの、葉っぱが付いているもの。

そんななかでも、「男」が変身したのは「太からず、細からず、ちょうど手ごろな、一メートルほどの真っすぐな棒切れ」。

この世に存在しうるあらゆる物や生物の中で、最も特徴が無く、他に埋没しがちなもののひとつである棒、の中でもさらに平凡なグループに属するものと言えます。

小学生の男の子だって、もうちょっとカッコイイやつ拾うよね。

つけひげの先生と学生

先生らしき人物と二人の学生に拾われた棒、もとい男は、その3人によって裁かれることになります。

さあ、この棒から、どんなことが想像できるだろうね。まず分析し、判断し、それから処罰の方法を決めてごらん。

学生たちは、各々の考えを述べはじめます。

すり減り、手垢がこびりついている様子から、この棒が生前、何か一定の目的のために、人に使われていたということを推測したり

この棒は、ぜんぜん無能だったと結論付けたり。

しかし最終的には、「裁かないことによって、裁かれる連中」であるとの判断のもと、その場に置きざりにされてしまいます。

この男が棒であったということが、「この男に関しての必要にして充分な解答」だったということは、すなわち男の性質が棒以外のものが持つような複雑さや特徴を備えていなかったということ。

この男はただの棒であって、それ以上でもそれ以下でもない。

だからこそ、男は人間としての死すらも達成できないまま、単なる棒としてそこに在り続けねばならなくなってしまったのだと私は考えます。

つづきは後編で

長くなってきたので後編へ続きます。

後編では、

・この作品のテーマって?

・つけひげの先生と二人の学生は、いったい何者?

などについて書いていく予定です。

お楽しみに。

それでは、また。

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Next book report is…

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