タグ: 短編小説

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モモの読書感想文038~『蜜柑』芥川龍之介

ある曇った冬の夕暮れ。汽車に乗っている私の向かい側に乗ってきたのは貧しそうな薄汚い少女。
その汚らしい風貌にも、三等の切符を持ちながら二等の車両に乗り込んでくる無知さにも、すべてに嫌気がさした私は、憂鬱な気分に拍車がかかる。
トンネルに入ると、少女はおもむろに窓を開ける。煤すすが車内に充満する。
トンネルを抜けると踏切に三人の男の子が立っていて、少女は弟たちに向けて5,6個の蜜柑みかんを投げる。
曇り空に映る蜜柑に目を奪われた私は、憂鬱な気分が晴れていることに気づく。

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モモの読書感想文037番外編~ 意外と知らない村上春樹の名作短編3選

村上春樹と言えば、取り上げられるのは『ノルウェイの森』や『1Q84』、最近だと『騎士団長殺し』などの長編小説が多いと思いますが…実は短編作品にも面白いものがたくさんあります。
時間がないときにもさらっと読めるのが魅力の短編作品。
数ある中から選りすぐりを3つ! ご紹介したいと思います。

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モモの読書感想文036~『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』村上春樹

四月のある晴れた朝、原宿の裏通りで僕は100パーセントの女の子とすれ違う。僕は胸を高鳴らせながらも話しかけることができないまま、ただすれ違う。今では、そのとき彼女にどう話しかけるべきだったのか、僕にはちゃんとわかっている。とにかくその科白せりふは「昔々」で始まり、「悲しい話だと思いませんか」で終わる。

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モモの読書感想文035~『カンガルー通信』村上春樹

いつもだったらここでまずあらすじを紹介するのですが、この作品については「まずは読んでください」と言いたい。というのも、読んでいくうちに徐々に状況が明らかになっていく、ちょっとした裏切りがある作品だからです。物語の冒頭はこうです。・・・やあ、元気ですか?今日は休日だったので、朝のうちに近所の動物園にカンガルーを見に行ってきました。

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モモの読書感想文034~『ねじまき鳥と火曜日の女たち』村上春樹

スパゲッティをゆでていたところにかかってきた、知らない女からの奇妙な電話。セクシャルな内容だったので無理やり切り上げて、いなくなった猫を探しに行くと、路地でサングラスをかけた少女に出会う。猫の通りみちで少女と待ち伏せをしているうちに眠り込んでしまい、目が覚めるといつのまにか少女は姿を消している。結局見つからなかった猫の死を予感し、泣く妻。電話のベルは鳴りやまない。・・・と言われても、意味が分からないですよね。私もわかりません。(笑)でもそういうものだよね、村上春樹って・・・なので、私が出した結論を先に。

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モモの読書感想文031〜『デューク』江國香織

デュークが死んだ。わたしのデュークが死んでしまった──。たまご料理と梨と落語が好きで、キスのうまい犬のデュークが死んだ翌日、乗った電車でわたしはハンサムな男の子にめぐりあった……。…。・・・飼っていた犬が死んでしまった次の日、アルバイトにでかけた「私」の不思議な一日を綴った物語。

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モモの読書感想文030~『記憶の盆踊り』町田康

物語は主人公のひとり語りで進んでいきます。自宅に訪ねてきた、編集者だという美女。紆余曲折あり二人は女の止まっているホテルのバーへ飲みに行くことになる。ノンアルコールビールを頼んだはずなのに、いつのまにかウィスキーのグラスを手にしていることに気づく。・・・タイトルにもある「盆踊り」とは、死者を供養するための仏教行事。盆には死者が家に帰って来るという考え方から、頬被りをして人相を隠し、死者の生き返った姿に扮した人がその物語を演じたという。